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株式会社シグマ 山木 和人 代表取締役社長

株式会社シグマの山木和人代表取締役社長。手にしているのは10月下旬に発売した「SIGMA fp」

 

独自のやり方で革新的なものづくりを追求
写真や映像を愛する人たちの思いに応える製品を世界へ

 
 
 10月下旬、株式会社シグマから発売になったレンズ交換式フルサイズミラーレスカメラ「SIGMA fp」が話題を呼んでいる。フルサイズながら世界最小・最軽量級のコンパクトなボディ。多彩な交換レンズやアクセサリを自由に付け替えることが可能で、静止画、動画のどちらにもスムーズに切り替えられる。画質の良さはもちろん、自分好みにカスタマイズできる変幻自在の拡張性は、これまでのデジタルカメラとは一線を画す。「本当の意味で『撮る人に合わせられる』デジタルカメラづくりに挑戦しました」と山木和人代表取締役社長。新しいコンセプトのもとで作られた「SIGMA fp」は、多くのカメラマン、映像作家の注目を集めており、2019年度のグッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)において、「グッドデザイン・ベスト100」に続き、「グッドデザイン金賞」にも輝いた。「誰も思いつかなかった製品や技術、誰もが思いついて、でも着手できなかったアイデアを思い切って実現するのがシグマらしさ」と山木社長は創業時より受け継がれてきた思いを話す。
 
 同社は父である山木道広氏が1961年に創業。早期から自社ブランドにこだわり、多種多様な交換レンズをはじめ、革新的な光学機器を開発、製造し続けてきた。現在、かわさきマイコンシティ(川崎市麻生区栗木)にある本社で、開発・営業・財務・人事などに約200人、福島県の会津工場でレンズやカメラ本体の製造・検査などに約1,600人が従事。世界6カ国に8つの子会社を置き、70以上の国・地域に販売を展開するグローバルカンパニーへと成長した。生産拠点を海外に置くメーカーが多い中、カメラに内蔵するイメージセンサーを100%子会社のFoveon Inc.(米カリフォルニア州サンノゼ市)で開発するほかは、すべて日本国内で製造しているのも同社の特徴。「アナログ技術の固まりであるレンズには熟練の従業員の技術や経験の蓄積が必要。会津の人たちの勤勉な気質に支えられた、良い工場でなければ品質を保つことができない」と利益を最大化することよりも、雇用と事業の継続を重視する経営哲学に徹している。
 
 生産の8~9割を占める写真用交換レンズのほか、デジタルカメラ本体の開発・製造を手掛ける同社は、2016年より映画の撮影に使われる「シネレンズ」の分野にも進出している。2020年夏に公開予定のハリウッド映画、トム・クルーズ主演の「トップガン マーヴェリック」の地上シーンの撮影や、2019年8月に公開され、大ヒットとなった映画「劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD」にも、同社のシネレンズが使用されている。山木社長は「老舗企業が多い中、当社のシネレンズを使いたいと監督やカメラマンから指名を受けるようになりました」と自信をのぞかせる。2019年末には、程よい雑味があって暖色系の色味が独特の風合いを醸し出す「ビンテージルック・シネレンズ」の販売を予定。デジタルカメラ市場が縮小傾向にある中で、成長が見込め、これまで培ってきた技術を生かせる分野に活路を見いだす。
 
 新百合ヶ丘在住の山木社長は、職住近接の環境がこの地域の魅力と話す。「シリコンバレーのように、海外の有名メーカーは自然の多い土地にあります。多摩丘陵の緑に囲まれた新百合ヶ丘は、仕事に集中できるぴったりな場所。この地でカメラを愛する人たちの思いに応えることができる『最高の品質で革新的、品位があって美しいものをつくる』という終わりのない目標に挑んでいきたい」。独創的で柔軟性に富んだシグマの製品はこれからも、新百合ヶ丘エリアの豊かな環境の中で生み出されていくだろう。
 
 
《プロフィール》
山木 和人
(やまき かずと)
1968年3月22日生まれ。上智大学大学院で経営を学び、卒業後、1993年に株式会社シグマに入社。2000年に取締役・経営企画室長を経て、2003年取締役副社長に。2005年に取締役社長、2012年に代表取締役に就任。学生時代に会津工場でアルバイトをした経験、ベテラン社員と交わした会話、父親から学んだ教えが経営の支えとなっているという。海外、国内を飛び回り多忙な日々だが、お気に入りの音楽をかけながらワイングラスを傾け、アイロンがけをするのが至福のひととき。
 
 

  • 10月下旬に発売したレンズ交換式フルサイズミラーレスカメラ「SIGMA fp」は写真、映像といったジャンルの垣根に縛られることなく、撮ることの可能性を広げてくれる新世代のカメラ。
  • インタビューに応じてくれた山木社長。海外出張の際にはカメラを持参し、写真を撮ることもあるそうだ。
  • 本社1階ロビーにはこれまでに開発・製造したレンズやカメラが並ぶ(写真は一部)。変化を恐れず革新的なものづくりに挑戦してきた同社の歴史が感じられる。
  • 身近な芸術である写真を広く知ってもらえる場にと、ロビーに併設されたフォトギャラリー。
  • 福島・会津工場では、一部の加工を除くレンズ研磨、プラスチック部品の成形、金型の製造、組み立てなどのほぼすべてを一貫生産。熟練の技を生かした唯一無二の製品を生み出してきた。写真は金型製造部での金型のメンテナンスの様子。

 
 

株式会社シグマ【企業DATA】
株式会社シグマ

川崎市麻生区栗木2-4-16
TEL:044-989-7430
URL:https://www.sigma-global.com/
しんゆりフェスティバル・マルシェ
kirara@アートしんゆり
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