ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

しんゆり人 NO.004 2019 AUTUMN

 『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年)で日本アカデミー賞優秀作品賞を含む6部門を受賞し、今年5月には最新作『長いお別れ』を公開した中野量太監督。新百合ヶ丘にある日本映画学校(現・日本映画大学)の出身で、KAWASAKIしんゆり映画祭にもゲストとして登壇したことがある中野監督に、学生時代のことや作品への思い、そして映画祭について伺った。 「元々は映画少年ではなかったけど、表現することは好きでした。表現してみんなを喜ばせる仕事がしたい。それなら表現の最高峰は映画だと思ったんです」。映画監督になろうと決心したのは、大学3年生の時。友人には「映画なんて全然見てないだろ」と驚かれたという。「映画には映像もあるし音楽もある、世界にも通用する。最初は自分を無理やり押し込むように映画監督を目指していた気がします」と明かす。 大学卒業後、出身地の京都を離れて入学した日本映画学校での3年間は、中野監督を映画に夢中にさせた。「物語を書くこと、それを撮影し映像にする人生を決めた3年間家族に見せたい映画 卒業制作で初めて撮った長編作品で評価を得たが、決して順風満帆だったわけではない。社会に出て助監督の仕事をしたがうまくいかず、向いていないと感じてテレビ番組のディレクターをしていた時期もあった。それでも映画を撮ることの喜びを忘れられずにいた中野監督は、卒業以来6年ぶりに自主短編映画『ロケットパンチを君に!』(2006年)を制作。その後、表現の最高峰「映画」でみんなを喜ばせたい映画監督 中野 量太 さんこと。初めての体験がたまらなく面白かった」と振り返る。 映画監督になるという思いは卒業制作でさらに強くなる。卒業制作は、コンペで選ばれた脚本を元に、みんなで取り組む。中野監督の脚本はその1本に選ばれ、83分の大作『バンザイ人生まっ赤っ赤。』(2000年)を完成させた。学生生活の集大成となったこの作品は、学校の最高賞にあたる日本映画学校今村昌平賞や、TAMA NEW WAVEグランプリなどを受賞。「映画を1本撮った喜び、完成した時の興奮はこれまで感じたことがないものでした。この経験が、僕の運命を変えました」KAWASAKIしんゆり映画祭KAWASAKI SHINYURI FILM FESTIVAL02SpecialInterview母校の日本映画学校(現・日本映画大学)大教室にて【Profile】1973年生まれ。京都府出身。自主長編映画『チチを撮りに』(2012年)がSKIP シティ国際D シネマ映画祭にて日本人初の監督賞を受賞し、ベルリン国際映画祭を皮切りに各国の映画祭に招待され、国内外で14の賞に輝く。商業長編映画デビュー作『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年)は日本アカデミー賞主要6部門を含む、計14の映画賞で、計34部門の受賞を果たした。独自の視点と感性で「家族」を描き続けており、次回作は『浅田家(仮)』(2020年公開予定)。しんゆり人 NO. 004 2019 AUTUMN 8