ブックタイトルしんゆり人 NO.004 2019 AUTUMN

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概要

しんゆり人 NO.004 2019 AUTUMN

歴史探訪  古の風を感じて文/善田紫紺撮影/編集部汁守神社黒川の雑木林の中に佇む農業の神様 黒川に「汁守神社」というちょっと変わった名前の神社がある。創建年は不明だが、県の神社誌には1782(天明2)年に社殿が再建されたとの記述がある。また台石に天保と刻まれた参道の鳥居は、1834(天保5)年の飢饉を乗り切った村人たちが奉納したものだとも伝えられている。 汁守神社はその昔は「汁盛」と書かれ、武蔵国の総社である府中の大國魂神社の末社として、祭礼(くらやみ祭)の時に、汁物を供える役目を担っていた。これに対して、黒川と隣接する町田市真光寺町には、「飯守神社」があり、同様に大國魂神社の祭礼の時に、飯物を奉納していたという。これが神社の名の由来だが、二社の主祭神は農業の神様である「保食命(うけもちのみこと)」で、汁守神社は雨がやってくる巽(たつみ)の方向(南東)を向いて建てられている。 汁守神社では、毎年9月の第4日曜[INFORMATION]汁守神社川崎市麻生区黒川1(小田急多摩線・黒川駅より徒歩約6 分)01. 毎年9月の第4日曜に行われる例大祭の様子。02.1904(明治37)年から1914(大正3)年にかけて建てられた拝殿(手前)と本殿(奥)。に五穀豊穣を祈願する例大祭が行われているが、かつてはこの祭りの時に2匹の牡獅子と牝獅子による豊作祈願の「龍頭の舞」が奉納されていた。この舞は獅子たちが胸の太鼓を打ち鳴らしながら、水の神である河童の面をつけた舞人の音頭で舞うというものだが、龍は雨の神で太鼓は雷の神を表すものであるという。 龍頭の舞は、1914(大正3)年に新しい拝殿ができてから途絶えてしまったが、現在では祭礼の時に本殿に一対の獅子頭を飾り、野菜やお神酒をお供えして参拝しているという。 神社の近くの雑木林には、いまも黒川から府中や八王子方面に至る古道跡が遺されている。この道は江戸時代、黒川の炭や柿生の禅寺丸柿を運ぶのに盛んに使われていたが、時代をさかのぼれば古代、汁守神社から大國魂神社に汁物を運ぶのに使われた道でもあるのだ。0102MAP F-123 しんゆり人 NO. 004 2019 AUTUMN