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概要

しんゆり人 NO.003 2019 SUMMER

生産に関わった人たちのストーリーを伝えたい 川崎市も地域の名産品にしたいと「くろかわのアスパラガス」をバックアップ。平成30年度の農商工等連携推進事業モデル事業として、トビラ株式会社(川崎市中原区上新城)のコーディネーター関川房代さんら4人と共に「かわさき都市農業」の活性化を「手土産としてもらって喜ばれる、そんな機会を演出したい」目指す取り組みを進めた。認知度を上げるため、同社のデザイナーが「手土産にしたくなる野菜」を目指したパッケージシールをデザイン。アスパラガスの先端が濃淡のある緑色で大きく描かれた、透明感のあるイラストが目を引く。また、CDジャケットサイズのブランド冊子を1000部制作し、アスパラガス売場に並べている。冊子は思いが端的に伝わるように、できるだけ文字を少なくしてイラストや写真を大きく掲載。見た目や味の特徴を紹介するだけでなく、生産に関わっている人たちを主役に据えている。同社のデザイナーたちは「消費者の元に届くまでには、生産者はもちろん、種や栽培法を開発した企業、研究者、これらの人たちを支えてきた市の職員など多くの人の努力があります。1本のアスパラガスの背景にあるストーリーを知ってほしいと思って作りました」とコンセプトを説明する。同市経済労働局都市農業振興センター農業振興課の川口愛農政係長は「パッケージは若い女性からの評判が良いようです。普段あまり農業に関心がない人たちにも興味を持ってもらうきっかけになれば」と期待を寄せる。 他にもモデル事業の一環として4月中旬の3日間、「レストランウィーク」を実施。「くろかわのアスパラガス」が最もおいしくなる時期に合わせて、JR南武線・武蔵新城駅近辺のレストランやカフェ3店舗で、シェフが考案したスペシャルメニューを提供した。参加店の1つ「Shinjo GekijoRivegee」では、アスパラガスをトッピングした米粉のガレットを販売。1日5?8食を用意したが、連日昼過ぎには完売したという。デザイナーとしてモデル事業に携わった、同店店長のもりさなえさんは「私たちが作成したチラシを見て、くろかわのアスパラガスを目当てに来店し川崎ならではの都市農業を育てるてくれた人もいました。食への関心が高まっていることもあり、川崎で作られている地場野菜を食べたいという人、地場野菜を使ったメニューを出したいという店も増えていると思います」と手応えを感じていた。 モデル事業のディレクターを務めた同社のシチューこと伊早坂遥さんは、「川崎は近くに大きな消費地があり、他とは違った農業を育てていける地域。そのためにもデザインによって特徴を分かりやすく伝え、差別化、ブランド化を図ることが重要だと思います」とデザインの重要性を訴える。「デザインの力」は目に見えないが、心の中にすっと入りこむような浸透力がある。人と農業をつなぎ、川崎ならではの都市農業の可能性を広げてくれそうだ。ブランド小冊子とタグ。特徴を分かりやすく伝えようとイラストや写真を大きく掲載した。03. イベントを通して「地場産の野菜への関心の高さを感じた」と話すカフェ「ShinjoGekijo Rivegee」店長のもりさなえさん。04. 同店で販売した「くろかわのアスパラガス」を使った米粉のガレット。ないかなと待っていました」と買い物かごの中へ入れていた。麻生区の主婦も「パッケージがかわいかったので手に取ってみたら、地元産のアスパラガスと分かり食べてみたくなりました」と興味津々の様子だった。味もパッケージデザインも、今後さらに人気を呼びそうだ。03049 しんゆり人 NO. 003 2019 SUMMER