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概要

しんゆり人 NO.003 2019 SUMMER

 デザインは図面に絵や文字を描くだけの行為ではない。麻生区黒川地区で栽培されている「くろかわのアスパラガス」の袋に貼られたシールやタグ、写真がふんだんに使われた小冊子のデザインは、生産者の思いを伝え、消費者に手に取る楽しみを与えてくれる。人の心をつなぎ、付加価値も高めてくれる「デザインの力」を農業に生かす取り組みが進行中だ。 みずみずしさを感じさせる鮮やかな緑色、栄養をたっぷり蓄え丸々と太った「くろかわのアスパラガス」。JAセレサ川崎の大型直売所「セレサモス麻生店」の店頭には3月下旬から5月にかけて、採れたてのアスパラガスが並ぶ。買い物客の目を引くのは鮮やかな色や太さだけではない。透明な袋の一つひとつに付けられたフレッシュな色合いのシールやタグが、素材の良さを際立たせている。 この「くろかわのアスパラガス」は、明治大学農学部野菜園芸学研究室と種苗メーカーのパイオニアエコ素材の良さを引き立てるパッケージ生産者と消費者をつなぐ デザインの力トビラ株式会社「くろかわのアスパラガス」のブランド化に取り組んだ、(右から)トビラ株式会社の関川房代さん、同社デザイナーの坂井美穂さん、川崎市経済労働局都市農業振興センター農業振興課農政係長の川口愛さん、同社デザイナーのもりさなえさん、同社ディレクターのシチューこと伊早坂遥さん。サイエンスが共同で開発し、通常は3年かかる収穫時期を1年に短縮した新しい方法で栽培されているのが特徴だ。2017年度から黒川地区で試験栽培を始め、昨春初めて販売を開始した。2シーズン目を迎えた今春、販売数はまだ少ないが、店頭に並ぶのを待ちわびていた人もいる。同店に食材を仕入れに来ていた東京・世田谷区にあるイタリア料理店のシェフは、「昨年食べたら味がとても良かったので、早く販売が始まら01. 初めて収穫した「くろかわのアスパラガス」を福田紀彦川崎市長に手渡す麻生区黒川地区の生産者(2018 年4 月)。02. 採れたての「くろかわのアスパラガス」と冊子が並ぶセレサモス麻生店の店頭。02 0102connect byDesign人と農業をつなぐ 都市農業ムーブメントしんゆり人 NO. 003 2019 SUMMER 8