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概要

しんゆり人 NO.003 2019 SUMMER

工学部出身ならではの視点で挑む 農業の未来にICTで貢献したいと熱い思いを持つ佐々木社長だが、元々は農業は専門外だった。明治大学工学部を卒業後は半導体業界で勤務し、30歳の時に転身。シリコンバレーの20社のICT関連スタートアップの日本における事業化に貢献した。帰国後の2005年に現在の会社を設立し、IoTの最先端を行く事業を展開。そんな中、総務省の事業に関わったことが、農業界におけるビジネスを展開するきっかけとなった。高齢化や担い手不足で農家の数は年々減少している。このまま農作物の生産量が減れば食料不足が避けられないことにも危機感を持った。また、若手農家から「数値のある農業、根拠のある農業がしたい」という声を多く聞き、現在の農業が転換期にあるという思いを抱くようにもなった。佐々木社長は「農業に携わる人が減っていくのであれば、今ある農家が生産効率を上げること、規模を拡大することが必要になりますが、これらはICTを活用し農業をスマート化することで実現でき「農業に休日を! ゼロアグリで実現させ、魅力ある仕事に」ます。休みを取れない、出かけられないといった過酷な労働環境にも変化を起こせます。農業はこれから右肩上がりの産業にしていけると確信しています」と力強い。工学部出身だからこそ気付けることを生かし、農業の変革を目指している。 「ゼロアグリ」の開発には、明治大学黒川農場の小沢聖特任教授らの研究も大きく寄与している。約10年かけて蓄積したデータを基にして、2012年から同社と共同研究をスタート新百合ヶ丘発の技術でアジアへ進出し、翌年に第1号機を発表した。「このシステムは完全な自動化ではなく、人間が判断できる部分も残しています。すべてを自動化した場合に比べ安く製品化できるだけでなく、システムの調整を通して長老から若者へ、父親から息子へ経験を伝えていくことも必要だと考えたからです。そしてこれがデータとして残っていき、経験が浅い人でも徐々に勘を養っていくことができるようになります」と小沢特任教授。このような人と人とのつながりがICTの力をさらに高め、農家や農村、そして日本の農業を守ることになると期待を込める。 また日本での展開はもちろん、課題や経営規模が似ているアジアへの進出も目指しているという。小沢特任教授は「現在、農業で肥料を大量に使うことによる土壌汚染や、窒素肥料を生産するための化石燃料の消費が問題になっています。水や肥料の適正な分量を判断できるこのシステムを利用することは、環境保全にも役立ちます」とその意義を説明する。新百合ヶ丘発の技術が今後、日本やアジアの農業を発展させていくことに大きく貢献しそうだ。「ゼロアグリ」の改良に向け共同研究を進めている、小沢聖特任教授。01. 明治大学黒川農場で使用されている「ゼロアグリ」。02. 同農場のハウス内ではトマトやキュウリを栽培しデータを収集している。03. チューブに開けられた穴から点滴のように培養液が供給される。04.「ゼロアグリ」で育てられたトマト。品質の安定も期待できる。04 03 02 017 しんゆり人 NO. 003 2019 SUMMER