ブックタイトルしんゆり人 NO.002 2019 SPRING
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しんゆり人 NO.002 2019 SPRING
03. 取材に応じてくれた(右から)幸島社長、山本拓司経営企画本部長、向山優樹同部課長。04. 社員の子どもも通う保育園から園児たちを招き「お仕事見学会」を開催。社員とその家族や、地域とのつながりを大切にしている。05. 楽器や本、カラフルな家具が置かれた空間は社員たちの憩いの場。06. 明るく広々としたオーガニック社員食堂では、会話も自然に弾む。07.食堂のランチメニュー「豆腐ナゲット」。食文化の多様性や肉食を避けることで実現できる環境保全活動への理解を深めようと、月2 回ベジタリアンメニューの日を設けている。03050407 06〈企業DATA〉伸和コントロールズ株式会社川崎市麻生区栗木2-6-20TEL.044-986-1861https://www.shinwa-cont.com/MAP F-2「精密機器を作るハイテクな会社ですが、最後は神頼みでした。初の国家プロジェクトに貢献できたことで、社員は自分たちの技術に誇りが持てたのではないでしょうか」と笑顔を浮かべる。 宇宙事業で大きな成果を上げた同社だが、専門は「調える」こと。創業は1962年で、ソレノイドバルブ(電磁弁)の設計からスタートした。耐食性・耐久性に優れたこの電磁弁は、医療機器や分析機器に多く用いられ、人工透析器の国内シェアは約7割を占める。また、スマートフォンやテレビには欠かせない半導体、ディスプレイの製造過程で使われる精密温調装置の開発・生産では、世界のトップメーカーとして知られる。この技術は水素ステーションでも生かされ、次世代エネルギーへの貢献も目覚ましい。「『調える』ことで、快適な生活と持続可能な社会を実現したい」と最先端の技術を追究している。 このような理念の下で業容を拡大させてきた幸島社長は、1992年に2代目社長に就任した。以来27年間、最も大切にしてきたことは「一期一会」だと話す。自身が営業マンだったころ、得意先から、半導体の製造ラインで温度制御に苦労しているので助けてほしいと声を掛けられたことがあったという。扱ったことのない分野だったが、会社一丸となって温湿度調整装置の開発を開始。今ではこの事業が会社の屋台骨を支え、本社のほか長野県伊那市高遠町、長崎県大村市など国内5カ所に事業所・営業所・工場を配置し、韓国・アメリカ・台湾など海外にも現地法人を持つまでに。「人との出会いをどう生かすかが大切。『お客様第一』という理念は、相手に喜んでもらえるだけでなく、自らの技術の向上、会社の成長につながる」と発展を続けてこられた理由を明かす。 顧客を大事にする同社の「おもてなしの心」は社風として根付き、社員や地域にも向けられている。1992年に都内から移転した麻生区五力田の本社が手狭になり、2017年に現在の栗木地区に移転。このとき社員のため真っ先に取り掛かったのが社員食堂のオープンだった。世界の顧客から寄せられる厳しい品質要求に日々全力で応える社員たちに、おいしくて健康的な食事をしてもらいたいとの思いから、地元の明治大学黒川農場で採れた新鮮な野菜や、有機栽培野菜を使用し、保存料や化学調味料を使わないオーガニックメニューを提供している。また、新百合ヶ丘では今年5月、親子で楽しめるクラシックコンサートを初めて開催(P26参照)。「地元に根差し、地域の人たちから愛される企業でありたい」と地域の文化活動の一翼を担う。ものづくりの最前線を歩みながら「和して伸びる」同社は今後、世界でも地域でもますます存在感を増していきそうだ。【社長プロフィール】幸島 宏邦(こうしま ひろくに)1939年10月17日生まれ。関西大学経済学部卒。1967年に伸和コントロールズ株式会社に入社。以後、電磁弁・電動バルブ事業、半導体製造装置用の精密温調装置事業営業・資材部門に携わる。1992年3月に代表取締役社長に就任。長崎県出身。趣味はテニス。25 しんゆり人 NO. 002 2019 SPRING