ブックタイトルしんゆり人 NO.001 2018 WINTER

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概要

しんゆり人 NO.001 2018 WINTER

歴史探訪  古の風を感じて文/善田 紫紺撮影/編集部 王禅寺は、「星宿山蓮華蔵院王禅寺」と称する真言宗豊山派の寺である。創建については不明だが、江戸時代に成立した『聖観世音菩薩略縁起』によれば、757(天平宝字元)年に、孝謙天皇の夢枕に観音菩薩が現れ「武蔵国の光ヶ谷戸という所に居る」と言われた。このお告げにより発見された金の聖観音を祀り、堂宇を創建したのが始まりと伝えられている。一方、寺伝によると王禅寺の名は917(延喜17)年、高野山の三世無空上人が醍醐天皇から「王の命じた仏教を修行するに適した場所」という意味の「王禅寺」の寺号を賜り、921(延喜21)年に改めてこの地に開山したと言う。以来、関東の高野山と称されたが、今でも周囲には鬱蒼とした樹木が生い茂り、山門をくぐると厳かな気分になる。 王禅寺はまた麻生区の名産品「禅寺丸柿」の発祥地でもある。境内の拝殿の前には樹齢450年と伝わる禅寺王禅寺 日本最古の甘柿、禅寺丸柿発祥の地[INFORMATION]星宿山蓮華蔵院 王禅寺川崎市麻生区王禅寺940(小田急線・新百合ヶ丘駅より「あざみ野駅」行バス「王禅寺東三丁目」下車徒歩3 分)TEL.044-966-513501. 小さな実をつけた禅寺丸柿の原木の枝と王禅寺本堂。02. 文化庁から贈られた登録記念物の登録証銘板が埋め込まれた記念碑。03. 本堂の裏手にある観音堂。丸柿の原木が植えられており、小さな真ん丸の橙色した柿が秋の日差しを受けて光っていた。 この禅寺丸柿の発祥については次のような話が伝えられている。1214(建保2)年、王禅寺の伽藍が焼失し、等海上人(横浜市金沢区の称名寺の塔頭延命院の住僧)が寺院再建の用材を探しに裏山に入ると、真っ赤に熟した柿を発見した。食べてみると甘くて大変おいしいので、持ち帰り、王禅寺の村人や近隣の農家に栽培を広めたという。1889(明治22)年の町村制施行で、王禅寺と周辺の十か村が統合され「柿生村」と名付けられた所以である。 禅寺丸柿は、日本最古の甘柿と言われ、2007(平成19)年に国指定の登録記念物となった。境内の原木の前には、文化庁から贈られた登録証銘板が埋め込まれた記念碑が、柿生禅寺丸柿保存会によって設置されている。0103 02MAP H-423 しんゆり人 NO. 001 2018 WINTER