ブックタイトルしんゆり人 NO.001 2018 WINTER

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概要

しんゆり人 NO.001 2018 WINTER

「生まれ育った岡上の農業を未来へ」05. 蔵邸ワインスクール「クール リッシュ」の生徒たちとブドウを収穫。収穫した後は、山田さんご夫妻が作ったカレーが振る舞われた。06. ワインスクールの授業風景。築年数が120 年以上だという、モダンに改装された蔵の2 階で開かれる。07. 川崎初自家栽培ブドウ100% 使用ワインとなった「川崎 蔵邸ワイン 岡上ロゼ」。ラベルは和光大学の学生たちがデザインした。03. 和光大学の教授、学生たちと、山田さんの畑で実習。04. 学生たちと作った「岡上エール」将来は岡上で農家レストランをほぼゼロにすることができた。飲食店の経営も軌道に乗り、さて次はと考えていた2014年、偶然の出会いから、農園近くにある和光大学(東京都町田市金井町)で外部講師を務めるという機会に恵まれた。テーマは「地域デザイン」。地域産業である農業を軸に、学生たちの発想で地域活性化に貢献する方法を考え、実際に挑戦していく授業だ。 主な取り組みとしては、山田さんの畑で採れた収穫物を利用した地ビール「岡上エール」作り、毎年行われる品評会に向けた地域の伝統野菜「万福寺人参」の栽培、地域の子どもたちを招いて行うサツマイモ掘りイベントの実施など。どれも学生たちにとっては貴重な体験ばかり。毎週1回行っているこの授業では、農業を通して商品の生産から販売までの一連のビジネスを学ぶことができる。また、サツマイモ掘りのイベントでは、学生たちが収穫したサツマイモをペースト状にしてケーキ屋でスイートポテトにしてもらい、子どもたちにプレゼント。子どもたちもスイートポテトができるまでの流れを学ぶことができる。「学生たちが子どもたちに教えることで、そこに世代を超えた地域交流が生まれます。これがこの授業の醍醐味。地域活性につないでいけたらうれしいです」 大学の授業も落ち着いてきたところで、同時進行で次なる目標に向かって歩み出す山田さん。「最終目標は、このエリアを農業観光地にすること。ワインは夢がある農業。ワインが作られている観光地っていいですよね」とワクワクした表情で話す。 大学での授業が始まった2014年、実はワインの勉強も始めていた山田さんは、2017年に作ったブドウで、2018年に川崎市内初となる自家栽培ブドウ100%のワイン「川崎 蔵邸ワイン 岡上ロゼ」を完成させた。このワインに使われてるブドウの栽培には、山田さんが経営し、妻のみずほさんが講師を務めるワインスクールの生徒たちも携わっている。「授業に参加するだででなく、ブドウの栽培から学ぶことができるのが、うちのワインスクールの特長。体験農業の発展形を目指しています」。 10月の酒税法改正により、ブドウの生産地と醸造地の両方に関わる地名でなければラベルに表示できなくなった。醸造所がない川崎では、山田さんのワインは「川崎」の冠が付いた最初で最後のワインに。「今度は『ハウスワイン特区』認定を目指して、自分の醸造所を作りたい。それができて、少し目を向けてもらえるようになったら、次は『国家戦略特区』。そこには農家レストランがあり、野菜が買えて、食べることができて、ワインもビールもあって、今までやってきたことが全て集約されます」。 大好きな岡上の緑や環境を守りながら、人に住み続けてもらうには…。農業ビジネスを発展させて、まちの魅力向上を図り、雇用機会も増やしていきたいと、一片の迷いもなく先々の展望を語る山田さんの言葉には、夢を夢で終わらせない情熱があふれている。030407 06 0511 しんゆり人 NO. 001 2018 WINTER