ブックタイトルしんゆり人 NO.002 2019 SPRING

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概要

しんゆり人 NO.002 2019 SPRING

舞台は芸術のまちのシンボル「テアトロ・ジーリオ・ショウワ」オペラの楽しみ方 小林さんが『蝶々夫人』で主演デビューしたときの会場は、今回と同じく「昭和音楽大学 テアトロ・ジーリオ・ショウワ」だった。そんな特別な場所で再び歌うことができてうれしいと、小林さんは目を輝かせる。また、新百合ヶ丘には歌劇団の研修生時代から通っていて、数々の思い出が詰まっている。 舞台セットや衣裳の美しさ、ストーリーの分かりやすさに加え、魂に響く音楽が最大の魅力と語る小林さん。「オペラ歌手の生の歌声は肌に響きます。ぜひ五感を使って楽しんでください」。迫田さんは名曲「ある晴れた日に…」をじっくり味わってほしいと話す。「自分の元に彼は戻って来るのか。期待と不安の中にあってもやはり愛している。そんな気持ちを伝えたいです」 ところでオペラでは、舞台の左右に日本語字幕が映し出され、オペラ初心「言葉を超えて、心に響く歌声を届けたい」「私を育ててくれたまちと言っても過言ではありません。進化しながらもどこか懐かしく、ほっとする場所です」 迫田さんは、一昨年に出演したオペラコンサートでこの劇場の舞台に立っている。「お客様との距離がとても近く感じられる良い劇場ですね。安心感に包まれて歌うことができます」。市内在住の迫田さんにとっては、休日に買い物をしたり友人と会ったりと、新百合ヶ丘は日常生活の場でもある。地元での公演ゆえに、いつも以上に気合いが入ると笑顔がこぼれた。者はその字幕を追いすぎてしまう傾向がある。「台詞や歌詞の意味を理解する上で字幕は大切ですが、心情を吐露する場面など、オペラ歌手はお客様の心に届くよう魂を込めて歌います。言葉が分からなくても、目で観て耳で聴いて心で感じてみてください」と鑑賞のこつを教えてくれた。ミュージカルや芝居を観に行くような気持ちで、気軽に劇場へ足を運んでほしいと話す二人。日本人の感性が存分に盛り込まれたオペラ『蝶々夫人』。この名作を観られる日が今から待ち遠しい。1934年 藤原歌劇団旗揚げ公演『ラ・ボエーム』第2幕より ?公益財団法人日本オペラ振興会同歌劇団はこれまでに日本初演を含む80作品を超えるオペラを上演し、多くの感動を生んでいる。藤原歌劇団と昭和音楽大学 1934年6月、テノール歌手・藤原義江さんを中心に、日本を代表する歌手たちとスタッフがプッチーニの『ラ・ボエーム』を上演し、わが国初の本格的オペラ団体「藤原歌劇団」が誕生した。初代総監督・藤原さんと共に歌劇団を創設し、2代目総監督を務めたのが、バス・バリトン歌手の下八川圭祐さん(1900?1980、昭和音楽大学の創設者、同大学現理事長・下八川共祐さんの父)。下八川さんは、イタリアで本格的オペラ演出の研鑽を積み帰国した新進気鋭の演出家・粟國安彦さんを起用し、数々の公演で新時代を築いた。また、日本の音楽界でいち早く「総合的なオペラ教育」を理念に掲げ、その思いは現在の昭和音楽大学の教育に受け継がれている。S P O T L I G H T【プロフィール】小林 厚子(こばやし あつこ)東京藝術大学卒業、同大学大学院修了。日本オペラ振興会オペラ歌手育成部修了。2000年『愛の妙薬』ジャンネッタでデビュー。その後も数々の作品に出演し、07年『蝶々夫人』で主演デビュー。18年『ナヴァラの娘』(日本初演)のアニタや新国立劇場公演で好評を得ている。迫田 美帆(さこだ みほ)東京藝術大学卒業。サントリーホールオペラ・アカデミーのアドバンスト・コース修了。これまでに『愛の妙薬』アディーナなどで好評を得る。その他、「第九」などのソリストとしても活躍。今回の『蝶々夫人』主演で藤原歌劇団にデビュー。川崎市在住。名演出家、故・粟國安彦さんが演出し、藤原歌劇団が大切に受け継いできた『蝶々夫人』。桜の花びらがはらりはらりと舞い、日本の情景が描写されている舞台は、ため息の出るような美しさ。2014 年 藤原歌劇団公演「蝶々夫人」c 公益財団法人日本オペラ振興会す。結婚・出産・子育てなど、女性ならではの経験が凝縮された3年間の心の変化を歌に込められれば」と語る。11 しんゆり人 NO. 002 2019 SPRING